The legend is back:成田賢壱の挑戦 ー 医療大麻とクローン病 ー

2019.04.14 | 病気・症状別 | by greenzonejapan
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The legend is back:成田賢壱の挑戦 ー 医療大麻とクローン病 ー
2019.04.14 | 病気・症状別 | by greenzonejapan

東京都新宿区の路上。判で押したように同じ顔が並ぶ選挙掲示板に一人だけ異物が混ざっている、それが今回の主役だ。

彼は医療大麻業界では、ある種のレジェンドである。俳優、デザイナーでありつつ 19歳の頃からクローン病という難治性の腸の病気を患う彼は、日本国内で治療目的に大麻を使用し逮捕される。2008年のことだ。

反省しているフリをしていれば、執行猶予で片がつく少量の所持。しかし、彼はそれを是とせず、法廷で全面闘争の姿勢を示す。日本の司法制度の前では敗北を喫するも、彼の闘いは続いた。単身、アメリカに渡米し、現地で患者認定を受け、医療大麻を使用する姿をライブで中継し続けた。まだ youtuber という言葉が生まれる前の話である。その反響は大きく、僕らをはじめとした次世代の活動家に多大な影響を与えた。日本の大麻合法化史は、彼の存在を抜きには語ることはできないだろう。

http://news.livedoor.com/article/detail/9888491/


僕が彼に初めて会ったのは、成城駅前の喫茶店だった。手の甲にまで至る刺青と、パイナップルのような髪型、個性的なフレームの眼鏡というヴィヴィッド外観とは裏腹に、その語り口は穏やかで理知的だった。一時期、家庭の事情や自身の体調不良で合法化活動の一線から遠ざかっていた彼も、昨今の世界的な追い風を受けて、再び戦意を取り戻していた。

とはいえ、正直、体調は万全とは言えないようだ。話の途中で時計を見た彼は、ちょっと失礼と、鞄の中から数種類の錠剤を取り出し、水で流し込んだ。「ヒュミラという免疫を抑える新薬を使っているのですが、副作用で免疫が低下して、耳の中に結核菌が感染してしまって…。実は片耳が聴こえないんです。今度手術することになりました。アメリカで大麻を使っているときは、それだけで病気のコントロールがついてたので、ヒュミラなんて必要なかったし、そうすれば結核になんかならなかったと思うんですけれどね。」

そう語る彼の言葉はリアルで重い。

クローン病と潰瘍性大腸炎という病気は病態が似ているため、まとめて炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれ、医療大麻の良い適応と考えられている。

僕が医療大麻の活動を始めるきっかけになったカリフォルニアの Jeffrey先生は、自らのクリニックに訪れた 37名の IBD 患者の症状を、大麻の導入前後で比較し記録している。それによると、大麻導入後には腹痛の改善、下痢の回数の減少、食欲の改善、吐き気の改善、疲労感の低下、気分の改善、活動性の向上、体重の増加、急性増悪の減少と増悪の程度の軽減が優位に認められている。

症例報告でいうなら、真偽のほどは不明だけれど潰瘍性大腸炎を患う安倍総理は大麻由来の CBD製剤を摂取しているという噂もある。

 

 

エビデンスの蓄積は進んでおり、2018年にはついにコクランが潰瘍性大腸炎とクローン病に対する大麻治療に関してレビューを書いた。コクランに含まれるのは大規模ランダム化比較試験だけであり、医療大麻にとって得意なフィールドではないけれど、それでも一定の有用性は認められた。

 

 

同じく昨年、イギリスが医療大麻を皆保険の適応とした際の、British Medical Journal の特集でも取り上げられていたのはクローン病患者だったのは記憶に新しい。「もしイギリス政府が私のニーズを満たす法律を作るのを待っていたら、とっくにこの世にいなかったと思う」と彼は語った。

https://www.greenzonejapan.com/2018/08/09/uknhi

一部のクローン病、潰瘍性大腸炎の患者にとって医療大麻が福音となるのは間違いない。


10年以上に渡る合法化に取り組む中で、成田の活動は市民に訴えかけるパフォーマンス的なものから、政治的な意思決定者へと直接働きかけるロビーイングへと変化していった。数々の厚生労働省や政治家に接触するうちに、誰かが彼に言った。「自分で政治家になった方が早いんじゃない?」と。

やらない理由を探そうと思えば、軽く100くらいは挙げられただろう。地盤なし、看板なし、金もないし、病気がいつ再燃するかもわからない。それでも彼は、今回、新宿区から区議選に立候補することを決めた。誰かに期待して待つだけの生き方は、彼のスタイルじゃないのだろう。

彼の主張は一点。「東京都を医療大麻特区に」だ。

 

 

この国では6年前から規制緩和政策の一環として、国家戦略特区制度というものが設けられている。この制度を利用し、医療大麻を先進医療として使えるようにする。これは絵空事でなく、充分に実現可能な政策だ。

正直、準備は万端とは言い難い。つい先日もしばらく音沙汰がないと思ったら、肺炎になって入院していたという。街頭演説を中心とした、一般的な選挙戦を闘い抜く体力があるかどうかは正直、わからない。勝てるとしたら、インターネットを駆使した戦略が機能した場合だろう。

数ヶ月前から、ツイッターでは彼を応援するアカウントが「@医療大麻新宿成田賢壱」というフレーズをつけて指示を表明している。議員になるのに必要な得票数はわずか1,500票である。

ふと、中島みゆきの一節が頭の中をよぎる。

闘う君の唄を闘わない奴らが笑うだろう。
冷たい水の中を震えながら登ってゆけ。

勝つか負けるかそれはわからない。
それでもとにかく闘いの出場通知を握った彼に、精一杯の声援を送りたい。

 

文章責任: 正高佑志(医師)

“The legend is back:成田賢壱の挑戦 ー 医療大麻とクローン病 ー” への6件のフィードバック

  1. 大山 亮 より:

    天乃主。宇宙発生の因の裁量の聖なる能動生命からの、聖なる生命令和。


    Jah Live. Dread Rock on the Life.

    One Love, One Peace and Grand Infinity Hope. Time After Time Will Tell Special Dream.



    Keep on Cool Like a Blue Fire or Purple Plasma.

    天乃主 Gan Jah Bless All 神宮大麻 回天 神風 

大自然と脳の電荷の宝刀手刀

  2. セイヤ より:

    全てのことが進化する場合は反対やら苦痛やら誹謗中傷やら
    いっぱいあるばってんね
    人もそうやって成長するしね!

  3. Fizzy より:

    ナリケン頑張れー!影ながら応援してます。

  4. SPEAKeasy, L L C より:

    皆様、成田さんに清き一票を入れましょう!

    医療大麻特区構想は自治体発のテストケースで、世界の動向 (WHOや各主要国) を鑑みれば、日本中で医療大麻を待ちわびておられる患者さんのために、政府による審議開始のカンフル剤になると期待します。

    勇気を持って立ち上がられた成田さんを、我々で応援させて頂きましょう。そして、我が国、日本が変わるきっかけを我々で作りましょう!

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