ホップ CBD – 裁判決着

2020.02.29 | GZJ 国内動向 | by greenzonejapan
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ホップ CBD – 裁判決着
2020.02.29 | GZJ 国内動向 | by greenzonejapan

昨年6月に、『ホップからCBDが採れるってホント?ウソ?』と題したエントリーを書きました。その続報です。

Potnetwork という大麻関連の媒体は、2019年2月22日付の記事の中で、「CBDを産生するホップを発見した自称ボミ・ジョセフ博士なる人物は過去に詐欺罪で服役したこともある詐欺師であり、ホップからCBDが採れるというのは嘘である」と主張しました。ところがボミ・ジョセフはこの記事を名誉毀損であるとして裁判を起こし、Potnetwork はこの記事を撤回、謝罪しました。

この製品を販売している人たちは、Potnetwork が記事を取り下げたことをボミ・ジョセフの主張が正しい証拠であると主張し、「ホップから採れるCBD製品」の販売を続けています。

問題の Potnetwork の記事を書いたのは Brandon Dorfman (@BaDorfman) というジャーナリストです。彼は当時 Potnetwork のフルタイムの記者でしたが、Potnetwork が記事を撤回したことを不服とし、会社を辞め、個人でこの裁判を闘い続けました。

そして最初の記事の掲載から1年。2020年2月25日、ボミ・ジョセフの訴えをカリフォルニア州の連邦地方裁判所の連邦治安判事が棄却し、この裁判は正式にボミ・ジョセフの敗訴で決着しました。Potnetwork の記事の内容が嘘である、という彼の主張が退けられたわけです。彼は二度とこの件で訴追をすることができませんし、裁判費用はすべて彼が負担することになるそうです。

この件に関する Dorfman氏の一連のツイートがこちらにあります。
この判決を報じた記事はこちら

また、氏の了承を得て、正式な裁判所の棄却命令の全文を載せておきますので、ご興味のある方はゆっくりお読みください。(画像クリックで PDF へ。)

 

自分の記事の信憑性に絶対の自信を持ち、最後まで引き下がらなかった Brandon のジャーナリストとしての矜持に泊手を送りたいと思います。

お断りしておきますが、この棄却がイコール「ホップからCBDは採れない」ことの証明ではありません。ただ、「ホップからCBDが採れるというのは嘘だ」という主張が名誉毀損だと訴え、裁判所から、名誉毀損の主張の根拠となる証拠の提出を再三求められ、その機会を与えられながら、とうとう証拠の提出をしなかったというのは事実です。

なお、ボミ・ジョセフ氏のウェブサイトには現在、ホップから採れるCBDのことは一言も言及されていません。おそらく(これは想像ですが)「ホップCBD」なる製品が販売されているのは世界で日本だけでしょう。

「ホップCBD」を販売している人たちからは、使った人が気に入っているのだからいいではないか、という声が聞かれます。そういう考え方もあるかもしれません。また、クラウドナインの製品に CBD が含まれていないと言っているのでもありません。効果を感じる人はもちろんいるでしょう。

でも、これから日本の社会に大きく拡がっていくと思われる CBD の市場に、「市販されているストックフォトを自分の写真だと言って説明されている製品」が存在し、またそれが高価格で販売されるのは望ましいことでしょうか? 皆さんに考えていただきたくてこの情報を共有します。

 

文責:三木直子(国際基督教大学教養学部語学科卒。翻訳家。2011年に『マリファナはなぜ非合法なのか?』の翻訳を手がけて以来医療大麻に関する啓蒙活動を始め、海外の医療大麻に関する取材と情報発信を続けている。GREEN ZONE JAPAN 共同創設者、プログラム・ディレクター。)

 

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