先日公開した『東京都の薬物啓発動画に物申す』という記事は、たくさんの方にお読みいただきました。さて、何故なのかはわかりませんが、厚労省は、ご丁寧にもこの動画に英語の字幕をつけています。
(画像クリックで動画へ)
日本がいったいどれだけ時代の潮流から取り残されているのか、その実態を海外の医師や活動家に知ってもらう良い機会なので、恥ずかしい動画ではありますが数名の方に見ていただき、コメントをいただきましたのでご紹介します。
イーサン・ルッソ MD:CReDO Science CEO、元 International Cannabinoid Research Society 会長。GZJによるインタビュー記事はこちら
東京都は、アニメという媒体を利用し、大麻について、誘惑的だが誤ったメッセージを子どもたちに送っている。アルコールやタバコの使用が原因で世界中で何百万人もの人が死亡しているという数字を検証しさえすれば、有害性が非常に低く、過剰摂取による死亡が起こり得ない大麻とそれらを並列するのが間違ったプロパガンダであることはわかるはずだ。子どもが大麻を喫煙すべきだとは誰も言っていないが、適切な方法で大麻から作られた経口薬は安全であり、抗がん剤治療による吐き気、多発性硬化症の筋痙縮、重度のてんかん、また疼痛の緩和に効果があることが実証されている。若い人たちに対しては、大麻は重篤な疾病に医療効果を発揮する可能性がある、と伝える方が有効だ。その方が正確だし、若い人にとって誘惑的なメッセージとなりにくい。
マーティン・リー:Project CBD ディレクター。GZJによるインタビュー記事はこちら
大麻の使用で死亡した人はこれまで一人もいないのに、大麻を麻薬やハードドラッグと一緒に語ることで、日本政府は逆に、危険な薬物の使用を促進している。なぜなら、大麻は有害でも危険でもない、という本当のことを知った人は「当局」が本当に危険な薬物について言うことも信じなくなり、危険な物質を試してみる可能性が高くなるからだ。
ニック・リカータ:元シアトル市議会議長、5期にわたる市議会議員
危険な薬物に NO と言おう、と子どもたちに伝えるコマーシャルを作るという方針は良いと思う。ただし伝える情報は、科学的には大麻は危険な薬物とはされていないという事実に忠実でなければならない。実際、アメリカをはじめ多くの国で、大麻が医療効果を持つということが理解され、利用されている。成人に限っては、大麻を使用した状態で車を運転しない限りは嗜好目的で使うことも許されている。他の薬物と一緒くたにして大麻は危険だという誤った主張をすれば、危険薬物の使用をやめさせようとするメッセージの信憑性もそこなわれる。この動画はまさにその過ちを犯しており、それさえなければ有用なはずのアドバイスを邪魔している。
ヴィヴィアン・マクピーク:シアトル・ヘンプフェス エグゼクティブ・ディレクター。 (彼がホストを務めるポッドキャスト Hempresents にGZJが出演しています)
子どもが大麻を使うべきでないのはもちろんだが、大麻を危険な薬物として描くこの1分間の動画に含まれる情報は正確でなく、極端に誇張され、まるで『リーファー・マッドネス』だ。大麻は比較的安全で医療効果のある天然の物質であり、現在アメリカでは数百万人が嗜好用として利用し、ネガティブな影響は取るに足らない。日本人にとっては、大麻とエンドカンナビノイド・システムについて、またその実際の良い面と悪い面についての正しい教育用素材の方がはるかに役立つはずだ。
ごもっとも、と言うほかありません。みなさんも海外のお知り合いにこの動画を観てもらって、できたら感想をお聞かせください。
文責:三木直子(国際基督教大学教養学部語学科卒。翻訳家。2011年に『マリファナはなぜ非合法なのか?』の翻訳を手がけて以来医療大麻に関する啓蒙活動を始め、海外の医療大麻に関する取材と情報発信を続けている。GREEN ZONE JAPAN 共同創設者、プログラム・ディレクター。)
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