大麻と CBD と COVID-19 と題した Project CBD の記事をご紹介したのが4月8日。それから1か月あまり、新型コロナ感染に対する CBD の効果を明らかにする研究が急ピッチで進んでいます。デトロイトに本社を置く経済ニュースサイト、Benzinga が4/25に報道したニュースによると、イスラエルで新型コロナウイルス感染に対する CBD の治験が相次いでスタートしました。
1つ目は、カンナビノイド医薬品に特化した製薬会社、InnoCan Pharmaとテルアビブ大学の共同研究プロジェクトです。
エキソソームと呼ばれる細胞から分泌される袋状構造にCBDを含有させたオリジナルの製剤を吸入することで、コロナウイルス感染で傷付いた肺細胞内にダイレクトにCBDを届け、細胞修復を促すということです。かなり先進的な印象を受けますが、果たして効果は得られるのでしょうか?
2つ目は、Stero Biotechs 社とラビン医療センターによる、重症の新型コロナ感染者に対するステロイドとCBDの併用療法です。
https://www.jns.org/israeli-biotech-company-starts-clinical-trials-of-cbd-steroid-treatment-for-virus/
これは従来のステロイドによる免疫修飾治療に CBD を追加することで、シナジー効果を狙うものです。入院中の重症患者10名から開始し、40名まで拡大する予定だそうです。
現代医療において、ステロイドが使用される状況は多岐にわたります。仮に有効性が示されれば、コロナウイルス感染以外の疾患でもステロイドとCBDの併用が有用である可能性が期待できるということになるでしょう。
3つ目は、イスラエルで3番目に大きな総合病院である、テルアビブのイチロブ病院での CBD単体投与です。
こちらは重症度が中等度の患者さんを対象に、CBDの抗炎症作用による炎症の鎮静化を狙います。この研究は現時点では企業の出資を受けず、病院が独立して運営するとのことです。
https://www.jewishpress.com/news/israel/israeli-hospital-testing-effect-of-cannabis-extract-on-coronavirus-patients/2020/04/20/
「ピンチはチャンス」と言わんばかりの勢いで、それぞれの病院、企業、大学が先を争って治験に取り組んでいるという事実が、CBD に対する期待の大きさを物語っています。結果が楽しみです。
文責:正高佑志(熊本大学医学部医学科卒。神経内科医。日本臨床カンナビノイド学会理事。2017年より熊本大学脳神経内科に勤務する傍ら、Green Zone Japanを立ち上げ、代表理事を務める。医療大麻、CBDなどのカンナビノイド医療に関し学術発表、学会講演を行なっている。)
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