てんかんへのCBD長期投与の効果

2022.03.20 | 大麻・CBDの科学 安全性 病気・症状別 | by greenzonejapan
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てんかんへのCBD長期投与の効果
2022.03.20 | 大麻・CBDの科学 安全性 病気・症状別 | by greenzonejapan

難治てんかんに対するCBDの有効性については、これまでに様々な形で取り上げてきました。

難治性てんかんとCBD

CBDが病院で処方される日

日本で買えるCBDオイルはてんかんに効くのか?

難治てんかんにCBDが奏功した症例が論文になりました

CBDでてんかん発作が消失!実録インタビュー

これらの経験と知識の蓄積のおかげで、CBDがてんかんに有効であることは公知の事実となりつつある一方で、どれくらいの量を、どれくらいの期間投与すればいいのかという具体的な方法論については、未だに現場の裁量に大きく委ねられているのが現状です。
CBDを含むカンナビノイド製品の至適投与量は、個体差が大きいことが知られています。そのため最終的には一人一人に合った調整が必須となりますが、どれくらいまで増量するか、どれくらいの期間、様子を見るかについては、長期試験の結果が参考となるため、今回は2021年に発表された結果を紹介したいと思います。

一報目はアラバマ大学てんかんセンターのタイラー・ガストンによる2021年2月の報告です。
タイラーらは難治てんかん患者169名(小児:89名 成人:80名)に対してCBD処方箋医薬品(エピディオレックス)を5 mg/kg/dayから開始し最大で50 mg/kg/dayという用量で、2年間服用させ、安全性と有効性の評価を行いました。この追跡の結果、以下のようなことが明らかになりました。

①投与開始から1ヶ月で小児の44%で発作頻度が半分以下に減少、9%で完全に消失した。その際の平均摂取量は7 mg/kg/dayであった。
②成人では34%で発作頻度が半分以下に減少し、1%で完全消失した。摂取量の平均は7 mg/kg/dayであった。
③発作の頻度は小児で5ヶ月ほどまで低下が続いた。成人では4ヶ月程度であった。半年時点での摂取量は小児で9~27 mg/kg/day、成人で13~37 mg/kg/dayであった。
④成人・小児のいずれも一定の効果が認められた。一般的な抗てんかん薬では最初だけ効果のある“ハネムーン期間“が存在することが多いがCBDの効果は持続的であった。

もう一報は2021年7月に、オリン・デビンスキーらにより報告されたオープン試験の結果です。これはエピディオレックスの承認のためにレノックス・ガストー症候群患者を対象に行なったランダム化比較試験に継続して実施された研究内容になります。
こちらでは366名の患者が参加し、平均して826日、最大で約3年の追跡が行われました。患者は最大で30 mg/kg/dayまでCBDを調整するよう指示され、実際の平均摂取量は24 mg/kg/dayでした。この追跡の結果、以下の結果が得られました。

①約70%の患者で発作が25%以上減少、約50%の患者で半減、30%の患者で3/4以下に減少し、完全に消失したのは1~5%程度であった。
②保護者からみると90%近くの患者で全身状態の改善が得られた。
③CBDの効果は長期的に持続した。

これらの2報の結果から、効果判定を行うには最大で30 mg/kg/dayまで増量し、半年程度様子をみて頂きたい印象を受けます。
実際に我々が運営するカンナビノイド医療患者会の会員からは、投与開始から30週、20 mg/kg/dayで発作の完全抑制を得たとの報告が届いています。
継続する上での最大の問題は経済的負担と考えられます。カンナビノイド医療患者会では会員に対して、非営利価格でのCBD・CBG・CBNの提供を行っています。
難治てんかんをはじめとした、カンナビノイドの効果が期待できる疾患にお悩みの方はウェブサイトよりお問い合わせください。

執筆:正高佑志(医師・Green Zone Japan代表理事)

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