この度、2021年に実施した国内当麻使用者に対する匿名アンケート調査結果を追加解析し、大麻使用障害(大麻依存症)と残遺性大麻関連障害(大麻精神病)のリスク因子についての報告がNeuropsychopharmacology Reportsに採択されましたのでご報告させて頂きます。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/npr2.12307
研究背景:これまで日本国内では大麻が厳罰とされているため大規模な疫学調査は行われていませんでした。そこで今回の我々の研究チームはSNSを利用した匿名オンライン調査を2021年に実施し、大麻使用に関連した健康被害の実態について調査しました。その結果、大麻の現在使用者の9.5%が大麻使用障害に該当し、また1.5%が残遺性大麻関連障害に該当する可能性が示されました。(2021 正高ら 日本アルコール・薬物医学会雑誌)また大麻使用に伴う健康被害が出現するリスクについても国内では大規模な調査報告がないため今回、追加解析を実施しました。
方法と結果:過去1年以内に大麻を使用した経験がある3142名の回答を、大麻使用障害(大麻依存症)と残遺性大麻関連障害(大麻精神病)の有無でそれぞれニ群にわけて、二項ロジスティック解析を行いそれぞれのリスク因子を検討したところ、大麻使用障害に有意に関連する要因として“大麻の初回使用年齢の低さ“、“家族に精神障害や依存症、自殺などの既往を有する者がいること“、“大麻使用に先行する精神疾患の罹患“、“乾燥大麻以外の大麻製品の使用経験“の4項目が同定されました。また残遺性大麻関連障害については、“大麻の初回使用年齢の低さ“と“家族に精神障害や依存症、自殺などの既往を有する者がいること“の二項目が同定されました。この因果関係については双方向的な可能性が考えられ、より詳細な研究が必要であると思われます。詳しくは近日中に公開予定のYoutubeでの解説動画をご覧ください。
アンケートに御回答頂きました皆様に、改めて御礼申し上げます。今後も学術的な調査報告を続けていきたいと考えておりますので、何かの際にはご協力を頂ければ幸いです。
執筆:正高佑志(医師・Green Zone Japan代表理事)
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