不眠とCBD服用量に関する研究成果のまとめ

2023.01.12 | 大麻・CBDの科学 病気・症状別 | by greenzonejapan
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不眠とCBD服用量に関する研究成果のまとめ
2023.01.12 | 大麻・CBDの科学 病気・症状別 | by greenzonejapan

CBDの主要な用途が睡眠の改善であることは広く知られていますが、薬理的な効果があるのか、またどれくらいの量を服用すれば良いのかなどについての科学的検証は始まったばかりです。本日は2021年末までに報告されたCBD単独使用に関する論文における睡眠に関連した報告を抜粋して紹介します。

○症例報告・ケースシリーズ・観察研究・横断調査

1:Elmsによる2019年の報告

コロラド州の統合医療精神科クリニックに通院するPTSD患者11名にCBD+精神療法・薬物療法を施行したところ、38%が睡眠の主観的な改善を自覚しました。摂取量の平均は使用開始時が33 mg/day、フォローアップ時が48 mg/dayでした。

2:Shannonによる2019年の報告

1と同じコロラド州のクリニックに通院する不安と不眠に悩む患者のケースシリーズです。CBDカプセル25mg/dayの摂取によって症状の有意な改善を認めました。詳細については以前解説記事を執筆しています。

3:Bergerによる2020年の報告

オーストラリア・メルボルン大学の精神科医による20歳の社会不安障害と不眠患者の症例報告。CBDを半年間、200~800mg/day投与し睡眠の自覚的改善を得ました。

4:Gulbransenによる2020年の報告

ニュージーランドで医師にCBDを処方された397名の観察研究。参加者は40-300 mg/dayのCBDを服用していました。参加者の12.3%がポジティブな副作用として睡眠の改善を報告しました。

5:Kasperによる2020年の報告

イギリスのプロラグビー選手517名を対象とした横断調査。回答者の26%がCBDの使用経験があり、最も多い理由は不眠でした。そのうち41%が症状の改善を自覚していました。

6:Mathurによる2020年の報告

インディアナ大学の研究チームによる自己免疫性肝炎患者を対象としたオンライン横断調査。回答者の25%がCBDの使用経験があり、15%が継続していました。CBD使用者の87%が睡眠の改善を自覚していました。

7:Boehnkeによる2021年の報告

ミシガン大学麻酔科の研究チームによる線維筋痛症患者に対するオンラインアンケート調査。不眠に悩む患者のうち40%が睡眠の質の自覚的改善を報告しています。(摂取量は不明)

8:Lovecchioによる2021年の報告

ニューヨークの脊椎専門病院に脊椎に関連した症状で通院する患者のうち25.9%がCBDを使用し、そのうち33%が睡眠の改善を自覚していました。(摂取量は不明)

9:Moltkeによる2021年の報告

デンマークとイギリスの研究者による欧州のCBDユーザーを対象としたオンライン調査。参加者の48%が早く眠りにつくのに役立ったと回答しています。(摂取量不明)こちらの論文は過去に解説記事を執筆しています。

ここまでに紹介したのは、介入しないタイプの研究デザインになります。その他に少数ですが前向きの介入試験の結果も報告されています。

10:Linaresによる2018の報告

ブラジル・サンパウロ大学の研究チームによるランダム化クロスオーバー研究。CBD300mgとプラセボの短回投与の影響をポリソムノグラフィーを用いて比較しましたが、明らかな有意差は得られませんでした。

11:Capanoによる2020年の報告

慢性痛に対してオピオイド系鎮痛薬を服用する患者97名のコホート調査。CBD30mgを含む経口ソフトジェルを8週間投与したところ、ピッツバーグ睡眠スコアで12.09→10.3へと改善が得られました。

これらの研究結果から、睡眠に対するCBDの効果は25~50mg/day程度でも自覚される一方で、場合によっては800mg/dayという大用量が必要とされることがわかります。また万人に対して効果が保証されるものではないことが改めて示された形になります。重要なことは自らの体感を客観的な形で記録し、評価することと言えるでしょう。

執筆:正高佑志(医師・Green Zone Japan代表理事)

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